大人も読める絵本

日々の暮らしの中でなぜか自分のアンテナにひっかかった絵本や本を紹介していきます。

『ちびうそくん』

 

『ちびうそくん』

      

               乾栄里子作・西村敏雄

            

 

 

 

ちびうそくん (わたしのえほん)

ちびうそくん (わたしのえほん)

 

 

 ひさびさの更新です。

今回は『ちびうそくん』です。

西村敏雄さんの絵が素朴で好きで、ほかにも絵で惹かれる絵本が

多々ありです(^^)

 『ちびうそくん』はもちろんお話しもステキです。

 

ストーリー。

 

 ちびうそくんはまちへやってきました。

 そこで出会った女の子とお母さん。

 女の子が「ママー、みてー、かわいい」とちびうそくんに

近づいてきました。

 ちびうそくんはとびっきりかわいいお顔をしました。

 

 その時の顔はほんとに笑えます!

是非確認してみてください(^_-)

   

 

 ほんとに女の子にきにいられたかったんだろうな~

(^◇^)

 

 しかし、女の子が近づきたかったのはちびうそくんのうしろにいたパンダの看板(笑)

 「はーぼくだってよくみればかわいいのにな」

 

少しおちこむちびうそくん。どうやら今、まちではパンダが人気者のようです。

 落ち込んだちびうそくんはまちから帰ると

かものはしのかものくんとあいました。

 

 落ち込んだちびうそくんを元気づけようとかものくんはちびうそくんの歌をうたってくれるなまずの合唱団にあいにいって歌わせたり、パンダのパンツをうらやましがったちびうそくんのために、ちびうそくんのパンツをぬってくれるはりねずみの

おばさんのうちにいったりしました。

 

 でも、そこでも出されたのは人気者のパンダのパン。

 

「パンダパン、おいしいね、、、」

ちびうそくん。

「それじゃあぼくたちでじぶんのパンをつくろうよ」

かものくん。

 

 ふたりでちびうそくんとかものくんのパンを

つくりました。

 そこで、かものくんが言いました。

 「あのねちびうそくん。ぼくかんがえてたんだけど

 ちびうそくんはちびうそくんのままでさいこうだとおもうよ」

 

誰かほかの人になろうとしない、ときどき無意識にそのことを忘れてしまう、、、

 

でもやっぱり戻ってくるのは、

自分が自分らしいことが一番大切だし、

一番自分がイキイキできる気がしますね。

 

そんな大切なことをとびきりかわいい絵でほのぼののんびり伝えてくれる絵本です★

 

オススメ。

 

そしてなにより、ちびうそくんと同じくらい

の大切な影の主人公、かものくん。

 

とっても優しいお友達。

 

こんな友達大切にできないわけありません。

 

大好きなキャラクター\(^o^)/

『まないたにりょうりをあげないこと』

『まないたにりょうりをあげないこと』

      

               シゲタ サヤカ著

            

 

 

まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本)

まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本)

 

 

 シゲタサヤカさん。

 

今回も相変わらずおもしろい私の大好きな

絵本。


.

 

 ストーリー。

 

 場面はとあるレストランの調理場。たくさんのコックさんたちがお料理をしています。

あるひ、一人のコックがとんでもないものをみてしまうのです。

 

それは、、、まな板がエビフライを食べようとするところ。

びっくりしたコックは周りのコックにそれをはなすのですが、

なにしろまちで一番人気のレストラン。

みんないそがしくてきいてもらえません。

 

そのひのばん、コックはまな板にエビをためしに一匹おいてみました。

すると、、、

 

ムシャリ!

「そうなの、ぼくたまーにおなかのうえのものをこっそりたべてるの。」

 

さかなのしっぽをちょっぴり。

にくのはじっこのそのまたはじっこを

すこしだけ。

 

 そんな日々の中、まな板は、コックに今度はレストランの料理をたべてみたいというのです。

 

シゲタサヤカさんのおはなしは奇想天外な感じがして、このままどうなっちゃうんだろう!?

と素早く話しが展開していきおはなしにのみこまれていくようです。

 

さて、先ほどのコックはまな板に料理をあげつづけたのでまた板は、おっきくおっきく育っていきます笑

 

それにきづいた料理長はいろいろあって結局

壁にはりがみをします。

 

・まないたにりょうりをあげないこと

・まないたはりょうりをたべないこと

 

どこか脇役だとおもっていたレストランの他のコックたちも愛情たっぷりなひとたちで、

まな板はまな板で最後までにくめない。

 

シゲタサヤカさんの絵本は登場キャラクターの表情も豊かでそちらにも目がいきます。

 

このおはなしはストーリーだけがおもしろいのではなくそういう全てが丁度いいのです(^ ^)

『ことりのおそうしき』

『ことりのおそうしき』

    マーガレット・ワイズ・ブラウン文

          なかがわちひろ訳

            

 

ことりのおそうしき

ことりのおそうしき

 

 

 

 絵本に対するイメージってありますよね。

タイトルに”おそうしき”という言葉。とっても強い言葉です。

 

ストーリー。

こどもたちが公園で小鳥が死んでいるのをみつけます。

初めて死んでしまった生き物に寄り添う子供たち。

子供たちは生き物が死んで悲しいという気持ちを体験します。

そしておはかをつくってあげて小鳥に歌を歌ってあげます。

子供たちは小鳥をみつけてよかったと思うのです。

 『こどもたちはなきました。あんまりきれいでかなしいうただから。

  もりはみどりのにおいがいっぱいで、そしてことりがしんだから。

  こどもたちはおはかのまわりにしろいすみれとちいさなおはなをかざりました。

  おはなはしずかにしおれていきました。

  それからもこどもたちはやってきて、おはかのまえでうたをうたいあたらしいおはなをそえました。

  はじめはまいにち、そのうちときどき、やがていつしか、ことりのことをわすれてしまうまで。』

 

  死をうけいれるときはひとそれぞれの受け入れ方があるでしょう。

 この絵本は変に大げさにならずに、命が終わること、

 そのまわりにはその命を囲む命があっていろんな気持ちになること、

 そしてそれは自然の道理であってまるごと受け入れていく姿が淡々と描かれています。

 

私がこの絵本を読んで感じたことは、人間も自然の一部であるということ、

 自然の一部であるから命も自然に枯れていくということ。

 いろんな命が巡っているのだということ。

 まわりの命がそれを悲しむのはいけないことではなく、それも含めて自然の一部であって、時はながれ、まわりの命もまた元気をとりもどしていくこと。

 すべての命がまわりに影響をあたえていること。命は大切であること。学ぶこと。

 自分を大切にして命を精一杯いきること。

 などでした。

 まだまだ私にはとてもむつかしいテーマでした。

 最初、おそうしきというタイトルにちょっとびっくりしたのですが、

 子供にとっても大人にとっても死をとらえるということは根本的に

 同じことなのだと感じました。

 それは当たり前のことなのだけど。

 

 死をきちんと受け止めることは自分らしく自分を大切にしてせいいっぱい生きることにつながっている気がしました。

 

 

 

『シルクハットぞくは よなかのいちじにやってくる』

『シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる』

          おくはらゆめ

            

 

 

とてもかわいい絵、、、女の人で嫌いな人はおそらくいないであろう表紙の絵本。

キラキラした表紙。そして夜のおはなしなのでダークな色合いも素敵です。

絵のタッチがやわらかで、シルクハット族もかわいくてどのページもポストカードのような絵本(^ ^)

絵集をみているかのようで、純粋に楽しい。

絵本は絵を楽しむってことなのかもしれません。

第18回日本絵本賞受賞作です。

 

 

  シルクハットぞくは よなかのいちじにやってくる

 こんなにたくさんあつまってても あしおとひとつきこえない

 

 シルクハットぞくは まどのすきまをするりとぬけて

 かぜのようにろうかをはしりぬけ まくらもとにすっとたった

 

 そうしてふとんのはじっこを そっと もつと

 ちょっとだけ  かけなおした

 

 あっちのいえでも こっちのいえでも

 せかいのあちこちで ちょっとだけ、、、

 

 

 

 

  

 夜は大人も子供も男の人も女の人もみんなが一日を終える時間。

それぞれにいろいろな過ごし方をしています。

 楽しい思いに浸れる日、悲しい日、がんばった日、ほっとした日、いろんな日があります。

 そんな人間を包んでくれるのが夜の静けさ。

 夜心が落ち着くのは自然の摂理でしょうか。

 真っ暗で、テレビも見ないでただ静かに一日に思いをめぐらす。

 パソコンやケータイから離れてみるとこういった夜の過ごし方も取り戻せそう。

 人間を静かに優しく包み込んでくれる夜。

 シルクハットぞくのような、自分にとってのやさしい存在が誰にもいるはず。

 それは、自然だったり時間だったり、旅だったり、誰かだったり、

 自分自身だったりするのかもしれません。

 そういう目に見えない何か優しい力にみんな包まれていると感じさせてくれる絵本

 です。

 

 静かな夜を過ごしたい日にぜひどうぞ(^^)

 

 

 

 

『ケチャップマン』

ケチャップマン』

         鈴木のりたけ

            

 

 

ケチャップマン。なんだこの本~って表紙を見て思いました。

ケチャップが人型になって八百屋で野菜を物色中。

生活しているのでしょうか、、、。

 

私の大好きな鈴木のりたけさんです。

なぜこんなに笑っちゃうんでしょう。

 

鈴木のりたけさんの本はこちらもとっても

おもしろかったです。

マンガをまじえて自分の子育ての日々を

のりたけさん視点で書かれていますが、

文章もおもしろすぎて、こんなふうに日々を見ていたら

子育てって楽しそう(^^)

のりたけワールドで、子育てに限らずこんな目線で

生きていたいものです。

 

 

 

ストーリー。

ケチャップはケチャップとして自分にしかできないことを

探索中の日々。ある日、ファーストフード店に雇ってもらう。

店長にポテトの揚げ方を厳しく猛特訓されます。

頑張って働く日々の中、頭がトマトの形をしたトメイト博士が来店。

ケチャップマンのケチャップを気に入り、ケチャップマンも

店長に気に入られるようになります。

しかし、毎日来店し、ポテトとケチャップを食べる度に

トメイト博士の頭は膨張していくのです、、、

 

最後はどんなことになってしまうのでしょう☆☆☆☆

 

文章はリズミカルな文体で書かれていてなぜかそれも

笑いを誘います。

 

 「じぶんにしかできないなにかをさがして

  まいにちなやむケチャップマン」

「きょうもおそくにかえりつき ひとりながめるまちあかり」

「つかれてかえるゆうぐれのみち

 あたまのキャップをなでるかぜがふいにぼーっというおとを

 たてるとケチャップマンはひさしぶりにわらった」

 

  完全にこれは大人絵本ですが、絵本ていろいろなものが

 あって本当に楽しいです。

 昔はこういうのあったのかな?

 サラリーマンのような哀愁たっぷりのケチャップマン。

 お父さんに読んでもらいたい絵本です。

 読み聞かせとかじゃなくて。なぜか共感できます。

 

『世界とであうえほん』

『世界とであうえほん』

                                  てづかあけみ/作

            

 

 

 

世界とであうえほん

世界とであうえほん

 

 『いろいろな木が生えて花がさき、実がなってさまざまなどうぶつたちがあつまるように 世界にはいろいろなひとびとがくらしている。』

 

そうそう、いつも毎日職場と家を往復しているとまるでそこが世界の全てのようにみえてしまいます。

 

 そして、ふと旅行にいくとたった一週間でも人間はいろいろな文化の中でそれぞれの生き方をあたりまえにしているんだなと実感します。

私が毎日家と職場を歩きつづけるように。

 

 もちろん国によっていろんな違いがある。

衣服、食べ物、家、おしゃれのしかたも違う。

そのおしゃれは、いつもきている人もいるし、特別な日にきる人たちもいる。

 

 食事をするときもはしで食べる人、ナイフ&フォークで食べる人、手で食べる人。

それぞれ、30%:30%:40%。

 スイスの世界で一番きゅうなやまみちをはしる登山鉄道なんて乗ってみたい。

(ピラトゥス鉄道)

 トナカイのそりものってみたいし、ガーナのオワリという木をくりぬいたところにビー玉を入れてとりあいっこするゲームもしてみたい。

 

 『あそびかたもいろいろ。でも、あそびがすきなのはみんないっしょ。』

 『世界じゅうからいろいろな音楽がきこえてくるよ。音楽ならことばがつうじなくてもきもちをつたえることだってできるんだ。』

  いろんなおまつりもある。ベルギーにはねこまつりっていうのがあるらしい。その歴史とか意味も気になるところ。どんなだろう。

  あいさつの仕方だって違う。

 

 『宗教もたくさんある。それぞれの教えやおいのりのしかたも ちがうけどみんなのしあわせをねがうのは どの宗教もいっしょ。』

 

 住む場所がちがうということは環境がちがうということ。環境が違うなら価値観もちがう。

 こんなに全てが違うのに、人間だから根底にながれる気持ちは一緒。

 

 姿かたちはちがっても人間だということはみんな一緒。

 

 この絵本ではいろんな国の生活スタイルや文化もろもろが紹介されています。

 みているだけでも楽しい。

 旅行にいきたくなります。

自分がいつも見ている世界なんて、ほんとに狭い世界なんだと感じることも必要。


  

 あの旅行に行ったときに感じる解放感とか日常に戻ったときに感じるフワフワした感じってなんなんでしょう。

 

 生きているうちにできるだけいろんな世界をみておきたい。

 いろんな自然や景色や人も文化も全て。

自分がアップデートできそうです!(^^)!

 

『なつのいちにち』 

『なつのいちにち』

 

            はたこうしろう・著

 

 

 

なつのいちにち

なつのいちにち

 

 

 

 

まだまだ梅雨にも入っていませんが新緑が気持ちよい今日このごろ。

 

さて、かなり先走っていますが『なつのいちにち』というおはなし。

 

男の子が主人公で、1人でクワガタを捕まえにいくというシンプルなストーリー。

子供のころは1人で出かけるだけでも冒険なのに、さらにクワガタを捕まえにいく。

登場するのはたった1人の男の子だけ。

おはなしは淡々とすすんでいきます。

文章もほんとに短くて、絵の余白や角度や、景色の描写が絶妙で絵本というより映像を見ているような感覚でした!

 

男の子は夏のある日、クワガタをつかまえに1人ででかけます。

牛小屋の前はくさいから、全速力ではしる。

神社の階段が長くて長くてハアハアしたこと。

川をこわいけど思い切って飛び越えてみる。

やっと見つけたクワガタは木のとっても高いところに。

何度も何度も挑戦してあきらめかけたときようやく自分と一緒に落ちてきてクワガタをゲット!

帰り道は、どしゃ降り。

ずぶ濡れになっちゃっても捕まえたから全てオッケー。

「きょうはぜったいつかまえる。

 ぼくがひとりでつかまえる。

まってろよ!でっかいクワガタムシ。」

お話しはこんな感じです。

 

小さい頃の夏の思い出ってどんなでしょうか。

 

例えば、遊園地にいったり、久しぶりに遠くに住むいとこと遊んだり、、、

そんな特別なことだけではなくて、何気ないワンシーンが強烈な思い出だったり記憶に残っていたりしませんか?

 

1人で初めてでかけたとき。大人になって気づくととても近い場所だけど、子供の時は大冒険でした。

大人になってから昔遊んだ場所にいくと塀の高さがびっくりするほど低かったり。

初めて自転車にのれたこと。

うれしすぎて手が痛くなるまで乗っていた記憶があります。

アサガオの鮮やかな色。夏って感じのヒマワリ、種のところが気持ち悪かったこと。夏の空の色がなんか乾いた感じがすること。陽がまぶしすぎるのに目で見ようとしたこと、せみの脱皮の瞬間を観察したこと、夜に聞こえる虫の声。

家のくらい廊下、雨の日の外のにおい、夏の草のにおい、スイカのシャリシャリした食感、麦わら帽子のにおい、扇風機の涼しさ、汗でビショビショになった服が乾く時、風を感じるほど早く走れるようになったこと。この絵本を読むとそういった記憶がジワジワよみがえってきます。

 

小さい頃は見るもの聞くものにおうもの、全てが新しいから全身の細胞で吸収していたのでしょう。

 

絵本を読むと思い出すということは忘れてしまったことも全部自分の中にはいっているのですね。

子供だった自分の感受性はもうないけれど、その頃の自分が感じていたことをふと思い出すとなぜかあたたかな気持ちになれる。

それもまた大人になったから味わえる醍醐味。

子供だからあじわえた気持ち。

大人になったからあじわえる気持ち。

全部たいせつなこと。