『みんがらばー!はしれはまかぜ』
みんがらばー!はしれはまかぜ
文・村中李衣 絵・しろぺこり
使命を感じる本。
突然ですが、『みんがらばー』ってなに?っておもいませんでしたか? 私は思いました。ビルマ語で『こんにちは』って意味だそうです。
さてさて、表紙は電車の絵だし、なぜこの本を見てみようと思ったのでしょうか。
なんとなくで読んでみたのです。実は。そうしたら、、、
私の想像していた、いわゆる男の子向け電車絵本とは全く違ったものでした。
主人公は[特急はまかぜ]。絵本の中で登場するときに、
『わたし』と自分をいっているので女の子の電車のようです。
毎日元気に走っているのですが、ある日、お友達の特急列車やくもさんが整備のはらださんがしゃべっているのをきいてしまいました。
そのはなしとは、特急はまかぜがでっかいハサミでギッチョンチョンにぺしゃんこにされてしまうということ。はて(・・?
あたし、走れなくなるの?
おなかがしんしんひえた
こんなにおなかがつめたいのは、うまれてはじめて
原田さん、たすけて
ねむれないまますぎた日々をすごす特急はまかぜ。
そんな日々のあと原田さんからうれしいおしらせが。
ターボエンジンで走る強くて力もちのおまえがほしいって。
下関のみなとから海をわたってミャンマーへいくんだ。
どこでもいい あたしはしれるのね
おなかのあたりが ぽっとあったかくなった。
と、こんな感じで物語はすすんでいきます。
そしてページがすすんでいくにつれ原田さんや特急列車やくもさんとの悲しいお別れ。
そんな運命の中で一生懸命にいきる"わたし”
たくさんの不安の中で”わたし”は誠実に、とっても力強くたくましく生きていくのです。
その強さが、虚勢をはった感じの強さではなくて、素直に自分の不安な気持ちを受け止めながら、自分で自分を励まし、結果自信をつけた強さという形につながっているように私は感じました。
”わたし”の様子がなぜかとっても爽やかで凛々しくも感じたのです。
あたしをのせたトラックは 小雨のふるなか、しずかにうごきだした
下関のおうちではたらく人たちが、ならんで、あたしを見送ってくれた 目をつぶった
まちの音、風の音、ひとの声、、、、みんなうずになって、
あたしのうしろへ きえていく
海のにおいが、つよくなった
特急はまかぜの気持ちとまわりの描写の文章のバランスも絶妙で、説明すればするほど、読んだ時の気持ちとずれてしまうきがしますのでこのへんで。
ミャンマーにいったはまかぜの心配はもう無用のようです(^^)
読んでいて、とっても勇気をもらえる一冊です。