大人も読める絵本

日々の暮らしの中でなぜか自分のアンテナにひっかかった絵本や本を紹介していきます。

『みずならのいのち』

みずならのいのち』

      

               手島 圭三郎 作・絵

 

 

 

みずならのいのち

みずならのいのち

 

 

 

 

  みずならのいのち。最初のインパクトは渋い表紙の

絵だな~と思ったところ。自分としてはいつもとかなり違った

テイストの絵本を読んでみました。

 

 まず、みずならって何だろう???

答えは、、、、何百年も生きる大きな大きな木でした。

そんなみずならという木の一生が描かれています。

 

 少しずつ読み進めていくと、とってもあたたかな気持ちに

なる絵本でした。

 

 

 絵本の中でみずならの木は800歳というところで

おはなしは終了しているのですが、まだ生きています。

 

 木の年輪のはなしはよくききますが、たしかにそれだけ

長く生きているのに木の立場にたって考えたことはありません。

 

 登場しているみずならは、100歳、200歳と年齢を重ねていく

うちにいろいろな出来事に遭遇します。

 

 ふくろうが自分みきのうろに巣穴をつくって暮らしたり

根元でひぐまが冬ごもりをしたり、かっこうが木にとまって

鳴いたり。

 

 そもそもこのみずならの木の始まりは、しまりすが食べる

どんぐりのひとつをよい場所に植えてくれたことでした。

 

みずならは自然とともに生まれて、季節や生き物、たくさんの

自然の姿をみてきたのです。

 山火事から運よく逃れたこと、冬の吹雪の中で、幹が半分

倒れてしまったこと、自分に起こったことも全て自然の中の

一部のように大きくとらえているみずならの木の姿がとても

印象的でした。

 

自分の体に力のみなぎりを感じていたみずならも、500歳、600歳

と歳を重ねるごとに力の衰えを感じ始めます。

 

 

『はんぶんのからだになったみずならはひるまでもいねむりをす

るようになりました みずならさんもっとどんぐりがほしい

かわいいしまりすがさけんでいるゆめです

たくさんのどうぶつたちのやくにたってきたことをおもいしあわ

せなきもちになりました 』

 

 

『やまもみずうみもはるのひかりにうつくしくかがやいてみえま

す はるだ はるがきたのだ みずならのからだのなかにわずか

にはるのちからがわいてくるのをかんじました 

 いきるということはかぎりなくうつくしくすばらしいことだ

 みずならにうまれたながいいのちにまんぞくするのでした』

 

 子供が読むには少し難しい内容かも。まさに大人向け

絵本かもしれません。

 私も以前だったらピンとくる内容になっていなかった気がしま

すが、今読むと命の自然の流れをみずならが悠々と大きな気持ち

でとらえている気がして、読んでいてとてもあたたかな気持ちに

なりました。

 

 年齢とともに考えることや、感じることが変化していくのは

あたりまえのこと。

なにげなく読んだこの絵本。『みずならのいのち』

 とても感動して、自分の読む絵本の世界がさらに広がった

気がします。

 

 ぜひおススメします(^^)

 

 

 

 

『だいじなだいじなぼくのはこ』

『だいじなだいじなぼくのはこ』

      

               作益田ミリ・平澤一平

 

 

 

 

だいじなだいじなぼくのはこ

だいじなだいじなぼくのはこ

 

 

 

           

 

 だいじなだいじなぼくのはこ。

益田ミリさんの絵本は以前にご紹介させていただいて

絵本があり、(↓これです。)

 

noerimo.hatenablog.com

 

 

 

益田ミリさんのマンガも核心をつく言葉がふいに

あったりして好きなのですが、

今回の絵本は↑の絵本の少しあとに出ている絵本でした。

 

どちらも大好きな絵本です。

ストーリーはシンプルで車が突き進んでいくというより

ひとりで冒険しながら走っています。

道中にはいろんな困難がまっていますが、そのとき

自分のもっている荷物イコールはこの中になにかがあることに

気づきます。それは、なんなのでしょう。

 

答えは"自分の力"が入っているのです。

その力は自分自身もまだまだ知らない自分だけの力が

はいっていました。

 

「たったひとりでここまできたよ

 どこからきたの?なにしにきたの?

 きゅうなさかみちのぼれるの?

 できないんじゃない?むりじゃない?」

 

 「ぼくにはつんでるにもつがあるよ

  ぼくのちからがはいってる

  ぼくもしらないちからのつよさ」

 

とても言葉のちからを感じる絵本でした。

言葉ってすごいな~。

説明など不要な絵本。ほんとに読んでみてほしいです。

迷った時や弱気になったときにこういう絵本が

あるからやっぱり絵本が好きだなと思います。

 

これからいくつになっても、そんなときに

開きたい絵本です(^^)。

 

 

 

 

『ちびうそくん』

 

『ちびうそくん』

      

               乾栄里子作・西村敏雄

            

 

 

 

ちびうそくん (わたしのえほん)

ちびうそくん (わたしのえほん)

 

 

 ひさびさの更新です。

今回は『ちびうそくん』です。

西村敏雄さんの絵が素朴で好きで、ほかにも絵で惹かれる絵本が

多々ありです(^^)

 『ちびうそくん』はもちろんお話しもステキです。

 

ストーリー。

 

 ちびうそくんはまちへやってきました。

 そこで出会った女の子とお母さん。

 女の子が「ママー、みてー、かわいい」とちびうそくんに

近づいてきました。

 ちびうそくんはとびっきりかわいいお顔をしました。

 

 その時の顔はほんとに笑えます!

是非確認してみてください(^_-)

   

 

 ほんとに女の子にきにいられたかったんだろうな~

(^◇^)

 

 しかし、女の子が近づきたかったのはちびうそくんのうしろにいたパンダの看板(笑)

 「はーぼくだってよくみればかわいいのにな」

 

少しおちこむちびうそくん。どうやら今、まちではパンダが人気者のようです。

 落ち込んだちびうそくんはまちから帰ると

かものはしのかものくんとあいました。

 

 落ち込んだちびうそくんを元気づけようとかものくんはちびうそくんの歌をうたってくれるなまずの合唱団にあいにいって歌わせたり、パンダのパンツをうらやましがったちびうそくんのために、ちびうそくんのパンツをぬってくれるはりねずみの

おばさんのうちにいったりしました。

 

 でも、そこでも出されたのは人気者のパンダのパン。

 

「パンダパン、おいしいね、、、」

ちびうそくん。

「それじゃあぼくたちでじぶんのパンをつくろうよ」

かものくん。

 

 ふたりでちびうそくんとかものくんのパンを

つくりました。

 そこで、かものくんが言いました。

 「あのねちびうそくん。ぼくかんがえてたんだけど

 ちびうそくんはちびうそくんのままでさいこうだとおもうよ」

 

誰かほかの人になろうとしない、ときどき無意識にそのことを忘れてしまう、、、

 

でもやっぱり戻ってくるのは、

自分が自分らしいことが一番大切だし、

一番自分がイキイキできる気がしますね。

 

そんな大切なことをとびきりかわいい絵でほのぼののんびり伝えてくれる絵本です★

 

オススメ。

 

そしてなにより、ちびうそくんと同じくらい

の大切な影の主人公、かものくん。

 

とっても優しいお友達。

 

こんな友達大切にできないわけありません。

 

大好きなキャラクター\(^o^)/

『まないたにりょうりをあげないこと』

『まないたにりょうりをあげないこと』

      

               シゲタ サヤカ著

            

 

 

まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本)

まないたに りょうりを あげないこと (講談社の創作絵本)

 

 

 シゲタサヤカさん。

 

今回も相変わらずおもしろい私の大好きな

絵本。


.

 

 ストーリー。

 

 場面はとあるレストランの調理場。たくさんのコックさんたちがお料理をしています。

あるひ、一人のコックがとんでもないものをみてしまうのです。

 

それは、、、まな板がエビフライを食べようとするところ。

びっくりしたコックは周りのコックにそれをはなすのですが、

なにしろまちで一番人気のレストラン。

みんないそがしくてきいてもらえません。

 

そのひのばん、コックはまな板にエビをためしに一匹おいてみました。

すると、、、

 

ムシャリ!

「そうなの、ぼくたまーにおなかのうえのものをこっそりたべてるの。」

 

さかなのしっぽをちょっぴり。

にくのはじっこのそのまたはじっこを

すこしだけ。

 

 そんな日々の中、まな板は、コックに今度はレストランの料理をたべてみたいというのです。

 

シゲタサヤカさんのおはなしは奇想天外な感じがして、このままどうなっちゃうんだろう!?

と素早く話しが展開していきおはなしにのみこまれていくようです。

 

さて、先ほどのコックはまな板に料理をあげつづけたのでまた板は、おっきくおっきく育っていきます笑

 

それにきづいた料理長はいろいろあって結局

壁にはりがみをします。

 

・まないたにりょうりをあげないこと

・まないたはりょうりをたべないこと

 

どこか脇役だとおもっていたレストランの他のコックたちも愛情たっぷりなひとたちで、

まな板はまな板で最後までにくめない。

 

シゲタサヤカさんの絵本は登場キャラクターの表情も豊かでそちらにも目がいきます。

 

このおはなしはストーリーだけがおもしろいのではなくそういう全てが丁度いいのです(^ ^)

『ことりのおそうしき』

『ことりのおそうしき』

    マーガレット・ワイズ・ブラウン文

          なかがわちひろ訳

            

 

ことりのおそうしき

ことりのおそうしき

 

 

 

 絵本に対するイメージってありますよね。

タイトルに”おそうしき”という言葉。とっても強い言葉です。

 

ストーリー。

こどもたちが公園で小鳥が死んでいるのをみつけます。

初めて死んでしまった生き物に寄り添う子供たち。

子供たちは生き物が死んで悲しいという気持ちを体験します。

そしておはかをつくってあげて小鳥に歌を歌ってあげます。

子供たちは小鳥をみつけてよかったと思うのです。

 『こどもたちはなきました。あんまりきれいでかなしいうただから。

  もりはみどりのにおいがいっぱいで、そしてことりがしんだから。

  こどもたちはおはかのまわりにしろいすみれとちいさなおはなをかざりました。

  おはなはしずかにしおれていきました。

  それからもこどもたちはやってきて、おはかのまえでうたをうたいあたらしいおはなをそえました。

  はじめはまいにち、そのうちときどき、やがていつしか、ことりのことをわすれてしまうまで。』

 

  死をうけいれるときはひとそれぞれの受け入れ方があるでしょう。

 この絵本は変に大げさにならずに、命が終わること、

 そのまわりにはその命を囲む命があっていろんな気持ちになること、

 そしてそれは自然の道理であってまるごと受け入れていく姿が淡々と描かれています。

 

私がこの絵本を読んで感じたことは、人間も自然の一部であるということ、

 自然の一部であるから命も自然に枯れていくということ。

 いろんな命が巡っているのだということ。

 まわりの命がそれを悲しむのはいけないことではなく、それも含めて自然の一部であって、時はながれ、まわりの命もまた元気をとりもどしていくこと。

 すべての命がまわりに影響をあたえていること。命は大切であること。学ぶこと。

 自分を大切にして命を精一杯いきること。

 などでした。

 まだまだ私にはとてもむつかしいテーマでした。

 最初、おそうしきというタイトルにちょっとびっくりしたのですが、

 子供にとっても大人にとっても死をとらえるということは根本的に

 同じことなのだと感じました。

 それは当たり前のことなのだけど。

 

 死をきちんと受け止めることは自分らしく自分を大切にしてせいいっぱい生きることにつながっている気がしました。

 

 

 

『シルクハットぞくは よなかのいちじにやってくる』

『シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる』

          おくはらゆめ

            

 

 

とてもかわいい絵、、、女の人で嫌いな人はおそらくいないであろう表紙の絵本。

キラキラした表紙。そして夜のおはなしなのでダークな色合いも素敵です。

絵のタッチがやわらかで、シルクハット族もかわいくてどのページもポストカードのような絵本(^ ^)

絵集をみているかのようで、純粋に楽しい。

絵本は絵を楽しむってことなのかもしれません。

第18回日本絵本賞受賞作です。

 

 

  シルクハットぞくは よなかのいちじにやってくる

 こんなにたくさんあつまってても あしおとひとつきこえない

 

 シルクハットぞくは まどのすきまをするりとぬけて

 かぜのようにろうかをはしりぬけ まくらもとにすっとたった

 

 そうしてふとんのはじっこを そっと もつと

 ちょっとだけ  かけなおした

 

 あっちのいえでも こっちのいえでも

 せかいのあちこちで ちょっとだけ、、、

 

 

 

 

  

 夜は大人も子供も男の人も女の人もみんなが一日を終える時間。

それぞれにいろいろな過ごし方をしています。

 楽しい思いに浸れる日、悲しい日、がんばった日、ほっとした日、いろんな日があります。

 そんな人間を包んでくれるのが夜の静けさ。

 夜心が落ち着くのは自然の摂理でしょうか。

 真っ暗で、テレビも見ないでただ静かに一日に思いをめぐらす。

 パソコンやケータイから離れてみるとこういった夜の過ごし方も取り戻せそう。

 人間を静かに優しく包み込んでくれる夜。

 シルクハットぞくのような、自分にとってのやさしい存在が誰にもいるはず。

 それは、自然だったり時間だったり、旅だったり、誰かだったり、

 自分自身だったりするのかもしれません。

 そういう目に見えない何か優しい力にみんな包まれていると感じさせてくれる絵本

 です。

 

 静かな夜を過ごしたい日にぜひどうぞ(^^)

 

 

 

 

『ケチャップマン』

ケチャップマン』

         鈴木のりたけ

            

 

 

ケチャップマン。なんだこの本~って表紙を見て思いました。

ケチャップが人型になって八百屋で野菜を物色中。

生活しているのでしょうか、、、。

 

私の大好きな鈴木のりたけさんです。

なぜこんなに笑っちゃうんでしょう。

 

鈴木のりたけさんの本はこちらもとっても

おもしろかったです。

マンガをまじえて自分の子育ての日々を

のりたけさん視点で書かれていますが、

文章もおもしろすぎて、こんなふうに日々を見ていたら

子育てって楽しそう(^^)

のりたけワールドで、子育てに限らずこんな目線で

生きていたいものです。

 

 

 

ストーリー。

ケチャップはケチャップとして自分にしかできないことを

探索中の日々。ある日、ファーストフード店に雇ってもらう。

店長にポテトの揚げ方を厳しく猛特訓されます。

頑張って働く日々の中、頭がトマトの形をしたトメイト博士が来店。

ケチャップマンのケチャップを気に入り、ケチャップマンも

店長に気に入られるようになります。

しかし、毎日来店し、ポテトとケチャップを食べる度に

トメイト博士の頭は膨張していくのです、、、

 

最後はどんなことになってしまうのでしょう☆☆☆☆

 

文章はリズミカルな文体で書かれていてなぜかそれも

笑いを誘います。

 

 「じぶんにしかできないなにかをさがして

  まいにちなやむケチャップマン」

「きょうもおそくにかえりつき ひとりながめるまちあかり」

「つかれてかえるゆうぐれのみち

 あたまのキャップをなでるかぜがふいにぼーっというおとを

 たてるとケチャップマンはひさしぶりにわらった」

 

  完全にこれは大人絵本ですが、絵本ていろいろなものが

 あって本当に楽しいです。

 昔はこういうのあったのかな?

 サラリーマンのような哀愁たっぷりのケチャップマン。

 お父さんに読んでもらいたい絵本です。

 読み聞かせとかじゃなくて。なぜか共感できます。